お歳暮の意味と由来
お歳暮は、日頃お世話になっている方に対して「今年も1年お世話になりました」という感謝の気持ちを込めて贈り物をする風習です。その起源は、正月に先祖の霊をお迎えする「御霊祭(みたままつり)」にあります。
御霊祭では、先祖の霊にお供えする数の子や塩鮭といった品物を、年末に本家や娘の嫁ぎ先に持ち寄る風習がありました。それが年月を経るうちに、お世話になった方に贈り物をする現在のお歳暮に変わっていったとされています。
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お歳暮・お年賀は年末年始の時期、お世話になった方に品物を贈る風習です。似たような行事に、夏の時期に贈り物をするお中元がありますが、お歳暮・お年賀とはどのような点が異なるのでしょうか。また、お歳暮・お年賀を贈る際にはどのようなマナーがあるのかご存知ですか?
ここでは、お歳暮・お年賀の意味やお中元との違い、お歳暮・お年賀を贈る際のマナーなどをご紹介します。
お歳暮は、日頃お世話になっている方に対して「今年も1年お世話になりました」という感謝の気持ちを込めて贈り物をする風習です。その起源は、正月に先祖の霊をお迎えする「御霊祭(みたままつり)」にあります。
御霊祭では、先祖の霊にお供えする数の子や塩鮭といった品物を、年末に本家や娘の嫁ぎ先に持ち寄る風習がありました。それが年月を経るうちに、お世話になった方に贈り物をする現在のお歳暮に変わっていったとされています。
夏のお中元もお歳暮と同じく、日頃からお世話になっている方に贈り物をして、感謝の気持ちを伝える風習です。現代ではどちらも似た行事になっていますが、起源と贈る品物が異なります。
お中元の起源は中国の「中元」にあるとされています。中国では神様の誕生日としてお供え物をする日でしたが、日本ではお盆と結びついたことで変化して、お盆の時期に感謝を伝える風習になりました。
また、お中元は夏、お歳暮は冬と季節が違うため、贈る品物も変わります。お中元はそうめんや冷菓、冷たい飲み物のように暑い夏でも涼がとれる製品が、お歳暮はお正月に家族みんなで食べられる食料品が人気です。
お歳暮を贈る際はいくつかのポイントに注意しないと、感謝の気持ちを伝えられないだけでなく、相手を不快な気持ちにさせてしまう恐れもあります。お歳暮を贈る際に気を付けたいマナーをご紹介します。
お歳暮を贈る際は、のし紙で品物を包むのが基本です。使うのし紙は、熨斗(のし)が付いた紅白の蝶結びの水引が結ばれたもので、表書きは「御歳暮」とします。 相手や自分が喪中の場合でもお歳暮を贈ることはできますが、その場合は熨斗や紅白の水引が使われたのし紙は避け、弔辞を書いたり香典を包んだりする際に使う奉書紙や、無地の短冊などを使うようにしましょう。
生鮮食品を贈る場合は、熨斗が付いていない水引のついたのし紙を掛けます。これは、熨斗が干したアワビを伸ばしたもので、「仏事の贈り物ではありません」ということを伝える役割を持つためです。
また、年末に相手宅に直接持参して手渡しする場合は、包装紙の上からのし紙を掛け、贈り物の目的がすぐにわかる「外のし」が適しています。郵送で贈る場合は、のし紙が汚れたり破れたりするのを防ぐために、のし紙の上から包装紙を掛ける「内のし」を使いましょう。
一般的にお歳暮は12月13日の「正月事始め」から、年越しの準備が本格化する前の12月20日頃までに贈るものとされていますが、地域によって時期に差があります。
関東では12月初旬~20日頃、関西では12月10日頃~20日頃とされているため、事前に確認しておくと良いでしょう。近年は関東を中心に、お歳暮が前倒しされる傾向にあり、11月末の段階で品物を発送することもあります。
地域に限らず20日頃はお歳暮の時期にあたるため、心配な場合は、12月20日前後に品物が届くように手配するのがおすすめです。
ただし、正月用の生鮮食品のように日持ちしない品物を贈る場合は、お正月に近い日付に届くように手配するといった配慮も必要です。
年末年始は帰省などで相手がお歳暮を受け取れないことも考えられるため、相手の予定なども踏まえて品物を贈るようにしましょう。
品物を贈る相手との関係性にもよりますが、一般的にお歳暮の品物の相場は3,000~5,000円程度だといわれています。品物としてはハムや魚介類、お酒類のように、お正月に家族みんなで飲食できるものが人気です。
「縁を切る」を連想させる刃物類や、「苦や死」を連想させる櫛など、贈り物にふさわしくないとされる品物を避けたうえで、相手の好みも考えながら品物を選ぶようにしましょう。
お歳暮の時期は年末年始の準備などで何かと忙しく、お歳暮を贈るのが間に合わないことも考えられます。
20日を過ぎても、年内に品物が届く場合はお歳暮として贈って問題ありません。年が明けて、元日から1月7日の松の内の時期までに贈る場合は、表書きを「御年賀」または「御年始」などとして贈ることができます。地域によっては1月15日頃までを松の内としている場合もあるので、お年賀として品物を贈る場合は確認をしておきましょう。
お年賀の時期にも間に合わない場合は、表書きを「寒中御見舞」または「寒中御伺」として、立春(2月4日頃)までを目安に届くようにしましょう。
お歳暮の時期を過ぎてしまい、お年賀として品物を贈る場合、お歳暮とは異なるマナーもあるため注意が必要です。
のし紙で包む、贈る時期に注意するといったマナーは同様ですが、具体的にはどのようことに注意すれば良いのでしょうか。お年賀として贈り物をする際のマナーをご紹介します。
お年賀は「今年もどうぞよろしくお願いします」という挨拶の気持ちを込めた贈り物です。年の初めに行う挨拶に当たるため、品物は正月三が日の間に、郵送ではなく直接持参するのが一般的です。
三が日にお互いの都合が合わず渡せない場合は、松の内までに贈るようにします。
お年賀は新年の挨拶と同時に、「新年を迎えたことを喜ぶ」という意味を持ちます。お歳暮とは異なり慶事に当たるため、喪中の際はお年賀の時期の贈り物は避けるのがマナーです。
喪中の相手にどうしても新年のあいさつをしたい場合は、松の内の時期が過ぎてから、「寒中見舞い」として品物を贈るようにしましょう。
お歳暮とお年賀は時期が近いですが、贈り物に込められた意味が異なるため、親しい人や特にお世話になっている方には両方とも贈るのも良いでしょう。
ただし、お歳暮とお年賀ともに改まった品物を贈ると、相手が恐縮してしまうことも考えられます。お歳暮を贈った場合は、予算は1,000~3,000円程度を目安に、お年賀を簡単な品物で済ませます。お年賀だけを贈る場合は、お歳暮分も考慮するなど、相手の負担を考えて品物を選びましょう。
お歳暮とお中元は、必ずどちらも贈らなければいけないわけではありません。片方だけ贈る場合は、年間通しての感謝の意味合いを持つお歳暮を贈るようにしましょう。
お中元を贈ってお歳暮を贈らないのは失礼にあたる場合もあるので注意が必要です。お中元を贈っている場合、お歳暮で贈る品物はお中元よりも2割ほど高めにするのが適しているとされています。
お歳暮は感謝の気持ちを伝えるものなので、お返しをする必要はありませんが、できるだけ早めにお礼状を出すのがマナーです。
お礼状は感謝の気持ちだけでなく、「品物が届きました」と伝える意味も持っているので、品物が届いてから3日以内を目安に送るようにしましょう。お歳暮を受け取ってすぐに電話やメールでお礼を伝えてから、ハガキなどでお礼状を出すとより丁寧です。
相手との関係性なども踏まえてお返しをしたい場合もあるかもしれません。その場合は、いただいた品物と同額以下の金額を目安に、お歳暮・お年賀、寒中見舞いとして贈ります。お返しをする場合も、いただいたお歳暮にはお礼状を別で送るようにします。
お年賀として品物を持参していただいた場合は、わざわざ訪問していただいたお礼として、返礼品を用意しておくと丁寧です。返礼品に掛けるのし紙の表書きには「松の葉」や「御礼」を使いましょう。
お歳暮・お年賀は、相手に一年お世話になったという感謝の気持ちを伝え、今年もよろしくお願いしますという挨拶の気持ちも込めて贈り物をする風習です。
自分の気持ちをきちんと伝えるためには、相手が気持ち良く品物を受け取れるようにさまざまな配慮をする必要があります。時期や品物といったマナーに気を配り、相手に喜んでもらえるお歳暮・お年賀を贈りましょう。