トップ > 基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく!
世界各国のだし事情

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

日本料理(和食)を作るうえで、だし(出汁)は欠かすことができない料理の基本です。近年日本食が注目される中で、日本のだしは世界的に人気を集めていますが、だしを使うのは日本料理に限ったことではありません。実は、世界各国においても「だし」は使われているのです。
ここでは、世界各国のだしの特徴や、だしを使った各国のスープ料理をご紹介します。

日本の和食だけじゃない! 世界にもあるだし文化

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

日本料理においては、かつお節から取るかつおだしや昆布から取る昆布だし、煮干しから取るいりこだし、かつお節と昆布だしを合わせた合わせだしなど、さまざまなだしが使われています。

日本独自の食文化と思いがちですが、材料を煮だしたうま味をスープに使う「だし」文化は、世界各国に存在しているのです。
ただし、日本とは歴史や文化、気候風土などの環境が異なる海外では、だしの作り方や味わい、だしに対する考え方が異なります。各国のだしを知ることは、その国の歴史や食文化を知ることにつながるといえるでしょう。

世界の代表的な「だし」とその特徴

実際に世界各国では、どのようなだしが使われているのでしょうか。世界の中でも代表的なフランスと中国、日本でそれぞれ使われているだしの特徴をご紹介します。

フランス料理「フォン」「ブイヨン」

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

フランス料理における代表的なだしは、ソースや料理のベースになる「フォン」と、スープに使われることが多い「ブイヨン」の2種類です。イタリア語ではそれぞれ「スーゴ」、「ブロード」と呼ばれます。

フォンは仔牛(ヴォー)の骨付き肉をニンジンやにんにく、セロリなどと煮込んだ「フォン・ド・ヴォー」が有名です。魚を煮込んで作る「フュメ・ド・ポアソン」など、一部のだしはフォンではなくフュメと呼ばれます。

ブイヨンは、鶏ガラや牛すね肉などに野菜類、スパイスを加えて長時間煮込んだものです。このブイヨンをベースに、さらに牛肉や野菜、スパイスなどを加えて煮詰めると「コンソメスープ」になります。

フォン、ブイヨンどちらも原料には肉・魚・野菜・香草類が使われ、肉や魚にイノシン酸、野菜にグルタミン酸といううま味成分が含まれています。
すっきりとしたうま味があるかつおと昆布の合わせだしに比べて、味わいが強く厚みを感じられるのが特徴です。

中国の「湯(タン)」

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

中国では、だしのことを「湯(タン)」と呼びます。フランス料理と同様、肉や魚、野菜など複数の材料を組み合わせてだしを取りますが、中国は歴史が長く国土も広大なため、各地でさまざまな種類の湯が使われています。
その中でも「清湯(チンタン)」「白湯(パイタン)」「上湯(シャンタン)」などが代表的です。

清湯は、ニワトリやアヒル、豚肉、ネギ、生姜片などの食材を静かに長時間かけて煮出して作るもので、澄んだ色とうま味を感じられます。一方、材料を強火かつ短時間で煮出す白湯は、清湯と材料はほぼ同じですが、白く濁った色になり、脂のうま味が強く出たコクのあるスープです。
どちらも、肉類にイノシン酸が、ネギや生姜といった野菜類にグルタミン酸が含まれています。

上湯は、分類上は清湯の一種です。金華ハムという生ハムを鶏ガラや豚肉などと煮込んだスープで、清湯の中でも特に高級品とされています。
肉類をメインに作られる上湯ですが、金華ハム(生ハム)は熟成させることにより、グルタミン酸の量が増えます。そのため、金華ハム(グルタミン酸)×鶏ガラや豚肉(イノシン酸)という、別々のうま味成分が組み合わさり、うま味を強く感じられるのです。

また、華僑の影響を受けたタイでも、鶏ガラや野菜を煮込んで作る「チキンストック」というだしが使われています。

日本のだし

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

日本のだしはいりこだしやあごだしなど、さまざまな材料からだしが取られますが、かつお節と昆布で作る合わせだしが基本です。
かつお節にイノシン酸、昆布にグルタミン酸といううま味成分が含まれていて、2つが組み合わさることで、うま味がより強く感じられる「うま味の相乗効果」が起こります。

前述の通り、海外のだし文化もイノシン酸とグルタミン酸を組み合わせてだしを取る点では、日本のだし文化と変わりません。
しかし、じっくりと長い時間をかけて材料を煮出す海外のだしと比べて、比較的短時間で味を引き出す日本のだしは、すっきりとした味わいになるという特徴があります。

基本のだしで楽しめる! 世界のスープをご紹介

海外のだしは、日本のだしとはだしの取り方や使われる材料、味わいが異なります。しかし、どちらも含まれているうま味成分はイノシン酸とグルタミン酸と変わらないので、日本の合わせだしを使って、世界各国の料理を作ってみましょう。
かつお節と昆布で作る基本のだしを使って楽しめる、世界のスープ料理を7つご紹介します。

スコッチブロス(イギリス)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

スコッチブロスは、イギリス最北端に位置するスコットランドの代表的なスープ料理です。肉や野菜、押し麦などを煮るだけとシンプルな料理で、朝に飲むことも多いそうです。レシピではベーコンを使用していますが、本場ではラム肉を使用します。

押し麦は、水分を吸収しづらい大麦を蒸して平たく加工したものです。手に入らない場合は、もち麦と呼ばれる別種の大麦やオートミールを代わりに使ってみるのもおすすめです。

スコッチブロス(イギリス)のレシピはこちら >>

ポトフ(フランス)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

肉と野菜をじっくりと煮込んだ、フランスの代表的な家庭料理です。フランス語では「火にかけた鍋」という意味で、使用する具材にこれといった決まりはないので、お好きな食材を使ってみるのもおすすめです

ローリエは肉の臭みを消したり風味を良くしたりするもので、ローズマリーやタイム、セロリの葉、パクチー、バジルなど、風味付けやくさみ消しの効果を持つ香草で代用できます。
ただし、香草の風味が強く出すぎる場合があるので、代用する場合は少量を使う程度にとどめておきましょう。

ポトフ(フランス)のレシピはこちら >>

グヤーシュ(ハンガリー)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

ハンガリーの国民食で、パプリカと牛肉を使って作る煮込み料理です。シチューやカレーに近いイメージの料理で、そのままスープとして飲む以外にも、ご飯やパン、パスタに合わせてもおいしく食べられます。

パプリカパウダーやチリペッパーといった材料がない場合は、トマトパウダーを使うか、ドライトマトを刻んで代用しても、近い風味が得られます。牛すね肉と、基本のだしの味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

グヤーシュ(ハンガリー)のレシピはこちら >>

トムヤムクン(タイ)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

酸味が特徴的なタイのスープ料理で、トムは煮る、ヤムは混ぜる、クンは海老という意味を持っています。フカヒレスープやブイヤベース、ボルシチなどと合わせて、世界三大スープに含まれることもあり、近年は日本でも見かけることが増えてきました。

レモングラスやこぶみかんなど、スパイスの味わいと海老のうま味が特徴的な料理ですが、使用する香辛料が手に入らないこともあるでしょう。こぶみかんの葉はみかんやスダチの葉、みかんの皮で、レモングラスはレモンの皮やレモン汁で代用するなど、香りの強いものを加えてみてはいかがでしょうか。

トムヤムクン(タイ)のレシピはこちら >>

カムジャタン(韓国)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

カムジャタンは、豚の骨付き肉とジャガイモを煮込んだ韓国の鍋料理です。豚の背骨を煮込んでスープを作るのが本場の味ですが、スペアリブなどの骨付き肉でも代用できます。

召し上がる際は、お肉はわさび醤油につけて食べるのも韓国流。締めには、残ったスープにご飯や海苔を入れて、ごま油で炒めて食べるのがおすすめです。

カムジャタン(韓国)のレシピはこちら >>

香菇鶏湯(中国)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

香菇鶏湯は、しいたけと鶏肉を使って作るシンプルな中国のスープです。
香菇(シャングウ)はしいたけ、鶏湯(チータン)は鶏肉または鶏ガラなどから作ったスープを意味する言葉です。あまり手間をかけずに作れる簡単な料理なので、料理初心者の方もぜひチャレンジしてみてください。

レシピでは鶏手羽を使用していますが、骨付きのお肉であればなんでも応用できるため、スペアリブや牛テールを使ってアレンジしてもおいしく食べられます。

香菇鶏湯(中国)のレシピはこちら >>

ブイヤベース(フランス)

基本のだしで「だし料理」をよりおいしく! 世界各国のだし事情

南フランスの地中海沿岸地域の代表的な海鮮料理ですが、もともとは漁師が売り物にならない魚を鍋に入れて作られていました。発祥の地であるマルセイユでは「ブイヤベース憲章」を定めて味を守っています。

香辛料をふんだんに使うのも、ブイヤベースの特徴です。サフランがない場合は、ターメリックやカレー粉、くちなしの実で代用できますが、ターメリックとカレー粉は独特の香りが加わってしまうため、ひとつまみ程度の使用に抑えましょう。
オレガノがない場合は、近い香りを持つバジルや、色味が似ているパセリを使うのがおすすめです。

魚介類の豊かなうま味が楽しめるスープには、ニンニクや赤唐辛子を潰し、オリーブオイルと混ぜて作る「ルイユソース」を添えるのが本場の食べ方です。ブイヤベースに入った魚やバゲットにつけて召し上がってみてください。

ブイヤベース(フランス)のレシピはこちら >>

基本のだしを使って世界の料理をよりおいしく

フランスのフォンやブイヨン、中国の湯など、材料を煮てだしを取る文化は、世界各国に存在します。だしの取り方や材料、味わいこそ異なりますが、イノシン酸とグルタミン酸という2つのうま味成分を掛け合わせる点は日本のだしと変わりません。そのため、かつお節と昆布から取る基本のだしがあれば、世界の料理を楽しむことも可能です。

今回ご紹介した料理以外にも、世界にはたくさんのスープ料理があります。基本のだしを使って、世界のさまざまな料理作りにチャレンジしてみてください。